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第029号

2008年07月10日発行

知っ得!労務マガジン 第29号

■■■ 知っ得!労務マガジン 第29号 ■■■       2008年7月10日

━■ 7月号のコンテンツ ■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

■今月の人事労務TOPIC <ねんきん特別便>
■今月の人事労務Q&A <出勤不良の社員の解雇>
■編集後記 <担当者からのメッセージ>

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━■ 今月の人事労務TOPIC ■━━━━━━━━━━━━━━━━━━

マスコミ等でも頻繁に取り上げられている年金記録問題ですが、6月から10
月にかけて現役加入者(約6,200万人)についても、社会保険庁から緑色
の封筒で「ねんきん特別便」の発送が順次開始されました。
「ねんきん特別便」は、社会保険庁で把握している年金の加入記録を通知し、
記録の「もれ」や「間違い」がないかをご確認いただくものです。
自営業、専業主婦、学生などの方には、直接ご本人の住所へ、厚生年金保険に
加入している社員の方には、(会社の協力が得られた場合は)勤務先を通じて、
または直接ご本人の届出住所宛てに発送されることになっています。
総務・人事担当の方には、「ねんきん」特別便を受け取った社員からの問い合
わせが今後予想されます。まずは、社会保険庁のホームページを参考に「ねん
きん特別便」の概要を掴んでおくのがよいでしょう。

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◆事業主の皆様へ
~従業員の皆様の「ねんきん特別便」の配布・回収について~
<http://www.sia.go.jp/top/kaikaku/kiroku/tokubetsubin/jigyonushisama.html>

◆年金記録問題について
<http://www.sia.go.jp/top/kaikaku/kiroku/index.htm>

◆年金特別便コーナー
<http://www.sia.go.jp/top/kaikaku/kiroku/tokubetsubin/index.html>

◆事業主の皆さまへ
~第2号被保険者の方に送付する「ねんきん特別便」の実施に関してご協力を
お願いいたします。~
<http://www.sia.go.jp/topics/2008/n0331.html>

━■ 今月の人事労務Q&A ■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

昨年度、全国約300ヶ所の総合労働相談コーナーに寄せられた総合労働相談の
件数は約100万件に達し、毎年増加の一途をたどっています。このうち民事上
の個別労働紛争相談の内訳で最も多いのが「解雇」に関するもので、全体の約4
分の1を占めるに至っています。

平成19年度個別労働紛争解決制度施行状況
<http://www.mhlw.go.jp/houdou/2008/05/h0523-3.html>

そこで今回は、出勤不良の社員を例に解雇についてQ&A形式で解説いたします。

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以下は、人事部長の方からの問題社員Aさんの解雇に関する質問です。

◆問題社員Aさん◆
入社2年目のAさんは、遅刻や無断欠勤が多い問題社員です。
会社としては、この社員Aさんを解雇したいのですが、実際問題解雇できるの
でしょうか。

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労働者が遅刻や無断欠勤をすることは、労働契約上の義務違反となります。
労働契約に定められた就業開始の時刻に遅刻したり、欠勤して労務の提供を行
わなかったりすることは、労働契約上の義務の不履行として「解雇の理由」に
なります。また、職場の秩序を維持する観点からすれば、「懲戒解雇の理由」
にもなります。
しかしながら、解雇理由があるからといって直ちに解雇できるというものでは
ありません。「解雇権濫用」に該当しないかどうか確認する必要があります。

◆解雇権濫用とは◆

本来、使用者は解雇の自由を有しています。しかし、これが権利の濫用にあた
る場合には無効となるという「解雇権濫用法理」が多数の判例の積み重ねによ
って確立されています。
判例によれば、「使用者の解雇権の行使も、それが客観的に合理的な理由を欠
き社会通念上相当として是認することができない場合には、権利の濫用として
無効になると解するのが相当である。」とされており、訴訟実務上も解雇ルー
ルとして定着しています。
この法理については、今年3月に施行された労働契約法においても、「解雇は、
客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない場合は、権利を
濫用したものとして無効とする。」と明記されています。

参考裁判例:日本食塩製造事件 第2小S50.4.25など参照
<http://www.jil.go.jp/kobetsu/book/83.html>

◆解雇の有効性◆

実際に解雇を行うにあたっては、具体的な事情のもとにおいて、解雇に処する
ことが社会通念上相当なものとして是認されなければなりません。
判断基準としては、遅刻や欠勤を理由に解雇する場合、その理由・原因や程度
のいかん、本人の反省の有無、平素の勤務状況、業務に与えた影響、同種事案
における他の処分との均衡、従来の取り扱いなど諸般の事情を総合して、解雇
が過酷に失することがないかという観点から解雇の有効性を判断することにな
ります。

参考裁判例:三井リース事件 東京地決平6.11.10 など参照
<http://www.jil.go.jp/kobetsu/book/84.html>

では、実際に出勤不良の問題社員Aさんを解雇する場合、どのようなことに注
意をしなければならないのでしょうか。
裁判所の一般的な見解では、その出勤不良の程度が著しく悪質であり、従業員
に改善の見込みがなく、かつ、その出勤不良のために事業に大きな障害が生じ
て使用者が従業員を解雇する以外に方法がないことが必要だとしています。
したがって、解雇は最終手段となります。解雇する前に会社が、労働者に対し
努力や改善を促したかどうか、それでもなお、労働者の勤務態度などの改善が
されない場合、あるいは改善されないことが明らかな場合に、はじめて解雇と
いう選択肢を有することになります。最終手段として解雇を行う場合には、解
雇の有効性を総合的に判断し行うことが重要となります。

最後に、具体的な例を見ていきましょう。

◆解雇が有効とされた裁判例◆
1.出勤率が極めて不良で3か月間で3回も出勤勧告を受けてもなお改まらず
  その後半月所在不明の欠勤をしたこと等を理由に解雇したもの
  (岡崎工業事件 福岡地裁小倉支部S49.8.1)
2.タクシー会社において無断欠勤が多く配車に多大な支障をきたしたことを
  理由とする普通解雇あるいは懲戒解雇したもの
  (国際交通事件 東京地裁S59.1.26)

◆解雇が無効とされた裁判例◆
1.従前、会社全体において厳格に守られていなかった欠勤、遅刻、早退等を
  理由とする懲戒解雇したもの
  (太平設備機械事件 名古屋地裁S37.5.28)
2.6日間の無断欠勤と上司に対する暴言を理由として解雇したもの
  (新甲南鋼材工業事件 神戸地裁S47.8.1)


━■ 編集後記 ■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

今年の梅雨入りは、平年に比べ早いものとなりました。日本の四季を感じられ
るこの季節、晴れの日も良いですが、梅雨が明けるまでの間、忙しい日常を忘
れ、雨音に耳を傾けて自宅でゆっくりと過ごすのも良いのかもしれませんね。

さて、「解雇」に関する法規は、従来は労働基準法第18条の2に規定されて
おりましたが、労働契約法の施行に伴い労働基準法からは削除され、労働契約
法第16条に移行しました。施行されて間もないですが、労働契約を締結や変
更の基本ルールが記されておりますので、労働契約法をご確認の上、労使トラ
ブルのないようにしたいものです。

労働契約法がスタート! ~平成20年3月1日施行~
<http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/roudoukeiyaku01/index.html>

知っ得!労務マガジン(バックナンバー)第21号『労働契約法』 
<https://www.romu.jp/magazine/mag-a20080205094125.html>

                      社会保険労務士 植木 祥子

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監修: アクタスマネジメントサービス株式会社/アクタス労務研究所

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