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第030号

2008年08月04日発行

知っ得!労務マガジン 第30号

■■■ 知っ得!労務マガジン 第30号 ■■■       2008年8月4日

━■ 8月号のコンテンツ ■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

■今月の人事労務TOPIC <特別休暇としての夏季休暇>
■今月の人事労務Q&A <メンタル不調者の復職>
■編集後記 <担当者からのメッセージ>

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━■ 今月の人事労務TOPIC ■━━━━━━━━━━━━━━━━━━

8月に入り、世間では長期の休暇をとられる方が多いのではないでしょうか。
ところで、厚生労働省の調査によると、主要企業が今年の7月~8月に予定し
ている3日以上の連続休暇の通算日数は平均8.0日となっています。大企業
に限らず、「特別休暇」の一部として「夏季休暇」を設けている会社は多いこ
とでしょう。
この「特別休暇」は法定の年次有給休暇とは異なり、福利厚生の一環として恩
恵的に与えるものですが、これを就業規則などで規定すると、社員にとっては
それが権利となり発生します。
ところが、この規定が曖昧なために、対象者や取得方法、取得期限などをめぐ
って社員との間でトラブルになることがよく起きています。
このような無用なトラブルを避けるためにも、この機会に一度自社の規定を確
認してみてはいかがでしょうか。

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◆平成20年夏季における連続休暇の実施予定状況調査結果
<http://www.mhlw.go.jp/houdou/2008/06/h0624-1.html>

◆平成19年就労条件総合調査結果の概要(表6及び表7を参照)
<http://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/jikan/syurou/07/3a.html#6>


━■ 今月の人事労務Q&A ■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

近年、メンタルヘルス不調者の復職は増加傾向にあり、多くの経営者や人事担
当者が対応について悩まれています。その背景には精神疾患の診断基準の拡張
や労働者有利な法改正などが挙げられます。今回は休職者が復職する時の対応
方法について解説します。

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以下は、A社人事部長からの質問です。

◆A社人事部長◆
現在、メンタルヘルス不調で休職と復職を繰り返している社員がいます。
先日その社員から連絡があり、担当医から復職可の診断が出たので復職したい
と申し出がありました。本人と直接会ったところ、薬などの影響で眠気が強い
らしく、本調子でないため会社としては復職させたくありません。
休職を続けさせることは可能でしょうか。

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◆復職の可否判定について◆

担当医が復職を認めても当然に復職させなければならないというわけではあり
ません。復職の最終判断をするのは会社です。復職可能の診断書が提出され、
かつ会社が就労可能と判断したときに復職を認めるのが一般的です。ですから、
復職可の診断書が提出されても休職を続けさせることも可能です。
ただし、会社が復職を断るには断るに値する合理的な理由が必要です。合理的
な理由の例としては以下が挙げられます。

1.会社の業務内容を把握している精神科医が復職を不可と判断した場合

2.当該社員の担当医に業務内容を説明し、復職の診断が取り消された場合
  ※この場合、担当医の話を聞くには本人の同意が必要です。

3.合理的な休職・復職の制度が社内で周知徹底されており、その制度にのっ
  とったステップでの復職を当該社員が拒否した場合。
  ※例えば「復職の際は会社指定の医師の診断を受ける旨」が明記されてお
   り当該社員がその医師の診断をかたくなに拒否する場合。

4.薬の副作用が当該社員や周囲の作業者に危険を及ぼす可能性がある場合
  (危険有害業務、自動車等の運転業務など)

5.就業規則に定めている休職期間を満了している場合

社員が医師という専門家の復職診断書を提出している以上、会社としても専門
家である産業医等の意見をもらうことが重要です。ここで上記1.に「産業医」
と記載しなかったことには理由があります。「産業医」と言っても会社の業務
内容等を全く把握していない名ばかり産業医が下した診断では有効性に欠ける
可能性があります。
また、産業医が精神科医でない場合、精神医療の専門家と見ることは困難です。
このような場合は2のように人事担当者や産業医が本人の同意のもとで担当医
と連絡をとり職場復帰可否の判断をするのが合理的でしょう。
いずれにせよ、このような社員の休職・復職の際に重要となるのは「会社の業
務内容を把握している産業医の存在」や「休職・復職の制度完備」です。

しかし、会社が復職不可の判断を下したにも関わらず、休職期間満了を恐れて
無理矢理復職しようとするケースもあります。このような場合は、「復職後2
ヶ月間は試用扱いとし、その期間中の8割以上出勤できない場合は休職とする」
といったように条件を明確にしておく(誓約書等を交わすと良いでしょう)こ
とにより休職期間を延長させることを防ぐことができます。また、復職後は当
該社員が働けているかどうか、出勤時間等を守れているかなどを書面に残して
おくことも重要です。

休職・復職の代表的判例を以下にあげます。

参考裁判例:エール・フランス事件 東京地判昭59.1.27
<http://www.jil.go.jp/kobetsu/book/43.html>
参考裁判例:片山組事件 最一小判平10.4.9
<http://www.jil.go.jp/kobetsu/book/14.html>

さて、ここまでは法的な見解からの解説でしたが、実際にはその社員に対する
思い入れやご家族のことを考えると判断を下すのが難しいこともあります。上
司が定期的に本人の相談に乗ってあげたり、会社が家族ともコンタクトをとっ
て本人の回復を支援する姿勢も必要です。そうすることによって会社の誠意が
伝わり、休職期間満了によって退職することになった場合にも訴訟沙汰になら
ず、円満に解決できます。

◆復職後の対応◆
次に復職後の対応について説明します。
社員が職場復帰したからといって、他の社員と同じように勤務できるとは限り
ません。特に精神疾患の場合、「再発」の危険性が非常に高いです。社員が職
場復帰した時には以下の点に留意する必要があります。

1.復職後の業務計画
上司と本人とで話し合い、復帰後の職場計画を作りましょう。最初の1~2ヶ
月は休職前の業務の半分以下の負荷設定にし、復職後1年ぐらいで休職前の8
0%以上の業務遂行が出来るような計画が最適です。

2.復帰後の定期診断
復職して数ヶ月間は1~2週間に1回は産業医または会社の指定する精神科医
と面談の機会を設け定期的に健康状態をチェックしましょう。数ヶ月経過後も
月1回は医師との面談の機会を設け、その内容は必ず記録をとるようにしまし
ょう。その記録が傷病の回復状況や社員の休職・復職の大きな判断材料になり
ます。

3.上司のケア
当該社員にとって一番の味方は上司です。精神疾患の場合、周囲の社員は当該
社員が精神疾患であることを知らないケースも多いです。上司が効果的なサポ
ートをできるよう必ず1度はメンタルヘルスに関する管理者研修を受講しても
らいましょう。

4.職場のケア
メンタル不調者が職場復帰した後、同職場の社員から当該社員のパフォーマン
スの悪さに不平不満の声があがることも少なくありません。メンタルヘルス研
修や勉強会を実施して周囲の理解を深めることも重要です。

5.人事担当者の支援
上司のケアや職場のケアも重要ですが主導となるのは人事担当者です。復職後
の状態や回復状況を継続的に確認し、当該社員をサポートする必要があります。
特に職場の上司には大きな負荷がかかりますので本人だけでなく、上司や職場
に対してのサポートも忘れないようにしましょう。

6.家族との連携
不調の印は職場では出なくても家庭で出ている場合もあります。社員のご家族
ともできるだけ連絡を密にして社員の回復をサポートしましょう。

以上の留意点を会社の職場復帰プログラムとして整理・体系化しておけば、精
神疾患に限らず、傷病休職者が出たときにスムーズに対応できます。また、職
場復帰支援については厚生労働省からも手引きが公表されています。

<http://www.mhlw.go.jp/houdou/2004/10/h1014-1a.html>

休職制度は就業規則に明記されていても復職後の対応について制度化・体系化
している会社が意外と少ないものです。この機会に是非検討してはいかがでし
ょうか。

━■ 編集後記 ■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

皆様は、ストレスケアをされていますか。ストレスは知らぬ間に溜まっている
ものです。気がついたら大きなニキビが出来ていた、便秘や下痢が続いている、
肩こりがひどい、朝目覚ましが鳴っても起きられないというようなことはあり
ませんか?
頭では大丈夫と思っていても体は正直です。体がサインを示したらゆっくりと
休暇を取りましょう。仕事が忙しくてなかなか休めない場合は我慢せずに上司
や同僚に相談しましょう。
経営者や管理職の方は社員が気軽に相談できる雰囲気作りに心がけましょう。

厚生労働省のホームページに簡単な「疲労蓄積度自己診断チェックリスト」が
あります。短時間でストレスチェックができますので定期的に実施してはいか
がでしょうか。会社として社員全員に定期的に実施するのも効果的です。

<http://www.mhlw.go.jp/houdou/2003/05/h0520-3.html>

                     社会保険労務士  森崎 和敏

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監修: アクタスマネジメントサービス株式会社/アクタス労務研究所

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