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第034号

2008年12月05日発行

知っ得!労務マガジン 第34号

■■■ 知っ得!労務マガジン 第34号 ■■■       2008年12月5日

━■12月号のコンテンツ ■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

■今月の人事労務TOPIC <賃金不払い残業の是正結果が過去最多に>
■今月の人事労務Q&A <続・就業ルールの不利益変更について>
■編集後記 <担当者からのメッセージ>

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━■ 今月の人事労務TOPIC ■━━━━━━━━━━━━━━━━━━

厚生労働省において、平成19年4月から平成20年3月までの1年間のうち、
全国の労働基準監督署が割増賃金の支払いに対し労働基準法違反として是正を
指導した事案のうち、100万円以上の高額な割増賃金が支払われた事案が取
りまとめられました。
厚生労働省資料によると、是正を受けた企業数は1728企業で前年度比49
企業の増加、是正金額は272億4261万円で前年度比45億円の増加で、
両者とも、集計を開始した平成13年度以降最多となっています。
最近では、労働基準監督署等に対して従業員本人やその家族の方などから長時
間残業、賃金不払残業に関する相談が多数寄せられており、行政当局が対応し
た結果となったのではないでしょうか。

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◆「監督指導による賃金不払残業の是正結果」
 http://www.mhlw.go.jp/houdou/2008/10/h1024-1.html

━■ 今月の人事労務Q&A ■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

前回、就業規則の不利益変更についてご案内いたしましたが、今回は不利益変
更であっても認められるケースについてご紹介します。
既にご案内のとおり、就業規則の変更により労働者に不利益な労働条件を一方
的に課すことは原則として禁じられています。ですが、就業規則の変更による
労働条件の低下が常に認められないわけではありません。社会情勢の変動や企
業の財政状況の悪化等、一定の条件が揃った場合には不利益変更は認められま
す。
これからその事例を見ていきたいと思います。

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以下はある会社のA社長からの質問です。

◆A社長◆
「会社の財政が苦しく、このままでは会社の存続が難しいです。経営を圧迫し
ている退職金の規程を変更して人件費の抑制を考えています。労働条件の低下
となりますが認められるでしょうか。」

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就業規則の不利益変更が認められるには以下の要因が必要とされます。

■不利益変更が認められる要因
1、会社としてその不利益変更をする必要性
会社の財政逼迫、社会情勢の急激な変動等、その不利益変更を行う必要性が高
度なものでなくてはいけません。例えば、会社の運営を維持する為に変更が避
けられない場合や、会社の統合等により就業規則の統合が必要不可欠な場合な
どです。

2、変更内容の合理性
変更によって労働者が被る不利益を総合的に考慮してもなお、その不利益を労
働者に納得してもらうだけの合理的な内容が求められます。例えば、その労働
条件だけをみると不利益を被るが、他の労働条件の向上によりトータルでみる
と不利益の程度が補填されている場合や、その不利益を認めないことで、事業
が廃業してしまう可能性が高い場合などです。

裁判では、労働者が受けることになる不利益の程度と、会社が不利益変更をす
る必要性、合理性を天秤にかけ、総合的に比較して認められるか否か最終的に
判断されます。客観的に「その状況でその不利益変更はやむをえないね」と考
えられなければならないのです。
また、過去の判例では、変更によって労働者が被る不利益を緩和する代替措置
や経過措置を取ることが求められています。

■不利益変更の効力が認められた判例事例
◆大曲市農業協同組合事件(最高裁S63.2.16)
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2004/06/s0610-5b1.html#11
◆羽子銀行(北斗銀行)事件(最高裁H12.9.12)
<http://www.mhlw.go.jp/shingi/2004/06/s0610-5b1.html#11>

■労働契約法による規定
この3月に施行された労働契約法では、過去の判例で示された指針を踏まえて
就業規則変更による労働条件の低下を行う際の要件が定められています。

1、変更が以下の事情から照らして合理的であること。
①労働者の受ける不利益の程度
②労働条件の変更の必要性
③変更後の就業規則の内容の相当性
④労働組合との交渉の状況
2、労働者に変更後の就業規則を周知させること。

このように、就業規則の不利益変更は、一定の条件を満たすことで認められる
こともあります。ですが、変更を必要とする背景、状況は会社によって異なる
ため、単純に過去の判例等を頼りに就業規則の変更を推し進めてしまうのは危
険です。
不利益変更にあたり最も大切なことは、労働条件を下げなくてはならない事情
を社員に理解してもらうことです。特に賃金や労働時間の変更は社員にとって
負担が大きい為、適切な対応を怠ると労働争議に発展することもありますので
注意が必要です。

■企業として不利益変更をする時に注意するポイント
◆労働条件の低下が必要である事情を、社員に理解してもらう努力をする。
1、変更をする前に会社として変更が必要な理由を予め社員に説明する。
2、全社員に理解をしてもらえるように出来る限りの努力をする。
◆不利益変更による影響を緩和する代替措置、経過措置を設ける。
◆パートやアルバイトなど正社員以外の特定層を対象に適用される場合、たと
え正社員でなくとも意見を聴く機会を設けるようにする。

就業規則はその役割を正しく理解して運用すれば、会社をトラブルから守り、
会社の経営ビジョンを周知、達成する為の武器となります。作成義務があるか
ら作成する、というのはもったい無いことです。積極的に自社の就業ルールの
問題点を洗い出し、見直すことで経営ビジョンの明確化と経営目標達成に繋げ
てみるのはいかがでしょうか。今回の内容、及び就業規則の作成、変更につい
てご相談、ご質問がありましたら、弊社までお気軽にご相談ください。
                                 

━■ 編集後記 ■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

12月になりました。
今年も残り1ヵ月となりました。皆さんにとって今年1年はどんな年だったで
しょうか。『終わり良ければ全て良し』という諺もあります。最後の1月、や
り残しのないように過ごしたいと考えています。

株価の低迷、消費の落ち込み等、年の瀬を迎えるにあたってネガティブなニュ
ースが増えています。皆さんの中にも社員に労働条件の変更の御願いを検討さ
れている方もいるかもしれません。社員は会社にとって大切な財産です。一方
的な変更を推し進めた結果、大切な財産を失ってしまう。そのような事の無い
ように、就業規則を変更するときには社員の理解を得る努力を大切にして頂け
ればと思います。

                   人事労務コンサルタント 片山 力
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監修: アクタスマネジメントサービス株式会社/アクタス労務研究所

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