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第037号

2009年03月02日発行

知っ得!労務マガジン 第37号

■■■ 知っ得!労務マガジン 第37号 ■■■       2009年3月2日

━■3月号のコンテンツ ■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

■今月の人事労務TOPIC <雇用保険法等の一部を改正する法律案>
■今月の人事労務Q&A <非正規社員の雇い止めについて>
■編集後記 <担当者からのメッセージ>

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━■ 今月の人事労務TOPIC ■━━━━━━━━━━━━━━━━━━

厚生労働省は、厳しい雇用情勢を踏まえ、非正規労働者に対するセーフティネ
ット機能及び離職者に対する再就職支援機能の強化を目的に、「雇用保険法等
の一部を改正する法律案」を作成し、平成21年1月20日に閣議決定されま
した。同法案の改正内容の概要は以下の通りです。

1.非正規労働者に対するセーフティネットの機能強化(失業給付の受給要件
  の緩和等)
2.再就職が困難な場合の支援の強化(再就職が困難な者に対する失業給付の
  延長)
3.再就職へのインセンティブ強化(再就職手当の支給要件緩和と給付率の引
  き上げ等)
4.育児休業給付の見直し(給付率の引き上げ等)
5.雇用保険料率の引き下げ

施行日は平成21年4月1日を予定しております。詳細につきましては、以下
のリンクをご参照ください。

http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/soumu/houritu/171.html

━■ 今月の人事労務Q&A ■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

景気低迷により雇用関係が変わり非正規社員の雇い止めや解雇が問題となって
います。

2008年10月から2009年3月までに全国で約12万5千人の非正規社
員が雇い止めされることが厚生労働省の調査でわかっています。非正規社員の
雇い止めや解雇は、企業にとっては即効性のある手段といえるかもしれません
が、その方法や条件について判断を誤ると、労働基準監督署から行政指導が入
る可能性があり、また、最悪の場合、労使間のトラブルに発展し訴訟となるケ
ースもあります。

今回は、非正規社員の雇い止めに関する有効性の判断基準と、それに伴い企業
がとるべき対応について解説していきます。

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以下はある会社のA社長からの質問です。

◆A社長◆
「急速な景気悪化により当社も業績不振に陥り、人員削減をしなければならな
い状況です。そこで、まずはパートタイマーに対し「契約期間満了」による雇
い止めをしようと考えていますが、その際、留意点等あれば教えて下さい。」

======

■雇い止めとは

雇い止めとは、有期雇用契約の期間満了に際し「契約更新を会社が拒絶する」
ことを言います。契約期間満了に伴う「雇い止め」であっても、契約更新の繰
り返しにより、一定期間雇用を継続したにもかかわらず、突然契約更新をせず
に期間満了をもって退職させるなど、一定の要件を満たす場合には、「解雇」
と同様に扱われ、そのような場合による会社の一方的な雇い止めは、解雇権の
濫用とされ無効となる場合があります。


■雇い止めが有効となる判断基準

雇い止めについて争われた裁判例を見ると、有期雇用契約の雇い止めに関して、
契約期間の満了により当然に契約関係が終了するものと判断された事案ばかり
でなく、解雇として取り扱われ、結果として雇い止めが認められなかった事案
も少なくありません。
そのような有効・無効の判断が下される基準として、以下のような項目が挙げ
られます。

1.従事する仕事内容や勤務形態が、正社員とどの程度同じなのか
2.対象者の労働条件が、正社員とどの程度同じなのか
3.継続雇用を期待させる当事者の言動や認識があったかどうか
4.反復更新の有無・回数、勤続年数等の状況はどうか
5.会社は更新手続きの有無・時期、方法、更新の可否の明示を適切に行って
  いたか
6.同様の地位にある者の雇止めが過去にあったかどうか
7.その他有期労働契約を締結した経緯等が特殊であったかどうか

ポイントは「雇用継続の期待」です。これらの項目は全て、雇い止めの対象者
が抱く雇用継続の期待の有無とその度合いを判断する項目になっています。裁
判では、これらの判断基準を総合的に勘案して、雇い止めが有効かどうかを判
断しています。

例えば、3についていえば、採用又は契約更新時に社長や人事担当者から「雇
用契約書は形式的なものであり、あなたにはずっと働いてほしい」などの説明
を受けた場合などが該当します。説明を受けた本人に雇用継続を期待させるよ
うな環境があったとされ、雇い止めを行ったとしても、解雇権濫用とし無効と
される傾向にあります。

さらに、4についていえば、更新手続きが面倒という理由で、特に労働者と面
談をせず、契約の更新手続きも行わないまま、契約が自動更新になっているよ
うな場合などが該当します。この場合、今後も当然のように契約は更新される
ものだと労働者は期待してしまいますので、やはり雇用継続の期待から雇い止
めは無効と判断される可能性が高いといえます。

このように、雇い止めに関する裁判は「雇用継続の期待」があったかどうかが
争いの焦点になります。詳細については、以下をご参照ください。

◆有期労働契約の反復更新に関する調査研究会報告
http://www.jil.go.jp/kisya/kijun/20000911_01_k/20000911_01_k_mokuji.html
     
◆厚生労働省 有期契約労働者を雇用する事業主の皆様へ  ~有期契約労働者の
雇用管理の改善に関するガイドライン~
http://www.miyazaki.plb.go.jp/antei/antei_26_01.pdf

    
■雇い止めに関するトラブルを防止するための対処法

有期雇用契約者を雇用する上で、雇い止めに関するトラブルを避けるために、
企業がとるべき対策として、次に掲げる事項の実施をお勧めいたします。

1.採用(又は契約更新)時に、労働者に継続雇用の期待を持たせるような言
  動は慎むこと
2.契約更新前に、必ず労働者と面談を行い更新手続きを行うこと
3.契約更新しないことが前々からわかっている場合には、契約書の中に「次
  回の契約更新はしない」旨を明記すること
4.雇い止めをする際、少なくとも契約期間満了日の30日前までに、雇い止
  めの予告をすること

上記は、あくまでも雇い止めを行う際のリスクを軽減するため、最低限行わな
ければならない事項です。状況によっては、労働者の納得、同意を得るため次
の措置などを講じることも検討する必要があります。

5.期間満了までに有給休暇の取得を奨励する、又は未消化分の有給休暇の買
  い上げ等の措置を行う
6.長期にわたって会社に貢献してくれた労働者に慰労金を支給する
7.他社への就職を斡旋する

なお、雇い止めの有効性は、会社の「これまでの対応」をもとに判断されます
ので、大至急上記のような対策を講じたとしても、現時点での雇い止めの有効
性判断では考慮されない可能性が非常に高いことをご留意ください。

今後、無用なトラブルを避けるため、期間的な余裕をもって適切な対応を取っ
ていけば、万一裁判になったとしても、雇い止めが有効とされる可能性は高く
なります。従って、上記の対策ができていない場合については、今日ここから
対策の実行をご検討いただければと思います。

有期雇用契約については、労使間のトラブルが多発していることに伴い、年々
法規制が厳しくなっています。昨年施行された労働契約法やパートタイム労働
法の改正も、その規制の一部です。これらの詳細に関するリンクを下記に掲載
しますので、この機会に一度、目を通されてはいかがでしょうか。


労働契約法について ~平成20年3月1日施行~
http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/roudoukeiyaku01/index.html

パートタイム労働法の改正について ~平成20年4月1日施行~
http://www.mhlw.go.jp/topics/2007/06/tp0605-1.html

                           
◆ご相談、お問合せはこちらまで
tel:03-3224-8800
問い合わせフォーム: https://www.actus.co.jp/form/contact.php


━■ 編集後記 ■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

吹く風にも春の気配が感じられ、暖かい春を待ち遠しく思う方が多いことでし
ょう。私もその1人です。しかしながら、季節とは裏腹に企業の多くが景気悪
化という寒風で震え上がっています。その影響もあって、労働者も派遣切り、
解雇、雇止めといった雇用問題に直面し、不安な日々を過ごしています。

今回、ご案内した雇い止めは、冒頭でもご紹介したように、企業にとって不況
を乗り切る手段の一つではありますが、判断を誤ると労使共に辛い思いをする
ことになります。従って、有期雇用の適切な運用を心掛けていただきたいと思
います。

まだまだ、試練の冬は続くかと思いますが、労使共に力を合わせ、暖かい春を
迎えましょう。

                 人事労務コンサルタント 柳澤 育太
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監修: アクタスマネジメントサービス株式会社/アクタス労務研究所

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