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第043号

2009年09月01日発行

知っ得!労務マガジン 第43号

■■■ 知っ得!労務マガジン 第43号 ■■■       2009年9月1日

━■9月号のコンテンツ ■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

■今月の人事労務TOPIC 
 <労働基準法の一部を改正する法律の施行について> 
■今月の人事労務Q&A <「内定取消」の留意点について>
■編集後記 <担当者からのメッセージ>

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━■ 今月の人事労務TOPIC ■━━━━━━━━━━━━━━━━━━

平成22年4月1日から「改正労働基準法」が施行されますが、対応準備は進
んでおりますでしょうか。今回は改正労働基準法の改正内容についておさらい
してみたいと思います。

■改正の目的
長時間労働を抑制し労働者の健康を確保するとともに、仕事と生活の調和のと
れた社会の実現を図ることが、今回の改正目的になります。

■改正内容について
改正の主な内容は、「長時間の時間外労働に対する割増賃金の引き上げ」と、
「時間単位の年次有給休暇制度の創設」になります。具体的には、以下の通り
です。
1.「長時間の時間外労働に対する割増賃金の引き上げ」について
 (1)1ヶ月の時間外労働が60時間を超えた場合、割増賃金率を25%上
    乗せし、合計で50%以上とすること
 (2)限度時間(1ヵ月45時間)を超えた時間外労働の割増賃金率を25
    %を超える率とするよう努めること(努力義務)

つまり、月45時間を超えた時間外労働については、割増賃金率を、25%を
超える率とするように努力して、月60時間を超えた時間外労働については、
50%以上の割増賃金を支払う義務が課せられることになります。

なお、60時間を超えた時間外労働について、割増賃金の支払に代えて有給の
休暇(代替休暇といいます)を付与することもできます。代替休暇を付与する
ことにより、上乗せ部分の割増賃金(25%)の支払いは免除されます。
ただし、代替休暇の制度を設けるには労使協定の締結が必要になります。

2.「時間単位の年次有給休暇制度の創設」について
 (1)労使協定を締結することによって、年間5日分を上限に時間単位での
    取得が可能となること

■猶予措置について
1ヶ月の時間外労働が60時間を超えた場合の割増賃金率を50%以上とする
義務については、当分の間、「中小企業」に該当する場合は猶予されます。
「中小企業」とは、次のいずれかの条件を満たす場合をいいます。

1.資本金額または出資総額が3億円以下
  (小売業・サービス業は5000万円、卸売業は1億円以下)
2.常時使用する労働者数が300人以下
  (小売業は50人、サービス業・卸売業は100人以下)

■改正労働基準法の対応

今回の改正内容を実務面で的確に対応するためには、システム対応を中心とし
て、多大な労力と費用、時間を要するものとなっているといわざるをえません。

特に、上記の猶予措置を受けられる中小企業に該当するかどうか、もしくは時
間単位年休の制度を設けるかどうかによって、対応のためのコストが大きく変
わってくると思います。

今の段階から改正内容をよくご確認いただき、対応の検討を行っておくことが
重要です。


━■ 今月の人事労務Q&A ■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

長引く景気低迷により離職を余儀なくされている方が多数いらっしゃいます。
厚生労働省の調査によるとこの数年離職者は右肩上がりです。なお、離職理由
別の完全失業者数を見ると、「人員整理・退職勧奨(29万人)」、「業績不
振や先行き不安(13万人)」、「会社倒産・事業所閉鎖(9万人)」の順に
続きます。
そんな中、新たな就業先を見つけ転職に成功している方も少なくありません。

今回は、採用・内定でのトラブルを回避するためのポイントについて解説して
いきます。

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以下はある会社で実際に起こった採用内定取消のトラブルです。

◆人事担当者A◆
内定通知書を採用内定者宛てに送り、先日、入社誓約書の提出がありました。
ところが、会社の業績の悪化に伴いまして、内定を取り消せないかと考えてお
りますが今回のケースの場合、内定取消は認められるのでしょうか。
また、どのような点に留意して行えばよいのでしょうか。

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◆回答◆

■内定取消とは
1.内定の法定意義
  使用者が採用内定を行い,それに対して学卒予定者等が誓約書を提出すれ
    ば、その時点で使用者の解約権が留保された労働契約が成立したものとさ
    れます。
2.内定取消が認められる場合
  採用内定の取消は、取消の理由が内定当時知ることができなかったか、知
    ることが期待できないような事実であって、社会通念に照らして相当と認
    められる場合に可能とされています。

■内定取消事由の例
1.提出した書類に虚偽の事実を記入した場合
2.就業開始日(新卒者の場合4月1日)までに卒業できなかった場合
3.ケガや病気等により、正常な勤務ができなくなった場合
4.内定時に想定しえなかった経済情勢の急激な悪化により人員削減の必要性
    が生じた場合
5.その他、当社社員として適当でないと認められる言動があった場合

■業績悪化による内定取消
 業績悪化による内定取消は、内定者側に帰責性がある場合と異なり、採用計
  画の見通しを誤り、内定を出してからわずか数ヶ月でこれを取り消すに至っ
  たことは企業側に帰責性があるものと評価されることから、その合理性や相
  当性については他の事由に比べて厳格に取り扱われます。

■内定取消についてのリスク
1.労働契約上の地位確認の訴訟
 内定者が、内定取消の無効を主張し、就業開始予定日以降について「労働契
  約上の権利を有する地位」の確認を求める訴訟を提起することが考えられま
  す。
2.金銭賠償
 内定者が金銭賠償を求めることが考えられます。
 以下、判例を見てみましょう。

◆ヘッドハンティングにより前企業を退職した中途採用者について、業績不振
により経費削減計画が進行し、配属の予定されていた部門自体が存続しないこ
ととなったことなどから、他の職種での採用を提案したものの、これを拒否さ
れた為に、結局内定を取り消した事案。
 裁判所は、企業経営の悪化等を理由に内定の取消をする場合の有効性の判断
基準として、「整理解雇の4要件」を準用しています。それによると、企業が
すでに就労している従業員を整理解雇するのではなく、採用内定者を選定して
内定取消をする、という選定方法については格別不合理ではないとしたものの、
内定取消前後の対応の不誠実さや内定取消による内定者の不利益を総合考慮し、
内定取消を無効としています。
(東京地決 平成9年10月31日 労判726号37項)

「整理解雇の4要件」ついてはこちら(知っ得労務マガジン第38号)
<https://www.romu.jp/magazine/mag-a20090401101515.html>

◆中途採用内定者に対し、海外旅行情報誌の企画営業業務に従事させると信頼
させて、本人に大手旅行代理店を早期退職させながら、入社直前に当該情報誌
発行事業の規模縮小を理由に他業務へ配属先変更を告知し、これを了解しなか
ったことから内定を取り消した事案。
 裁判所は、当該内定取消を違法と判断し、その態様、経過、内定取消の結果、
7ヶ月半にわたり失業状態に置かれたこと、不法行為に基づく損害賠償額(慰
謝料)として、転職前会社の7ヶ月半分の賃金に相当する165万円、弁護士
費用として20万円を認定しています。
(東京地判 平成15年6月30日 労判851号90項)

以上、内定取消は、企業にとって様々なリスクを及ぼしますので、業績が悪化
した場合でも慎重に検討し、内定取消の対象となった方に対して、内定取消を
行わざるをえない理由について充分な説明を行い、就職先の確保に向けた支援
を行うなど企業側の誠意を示し納得いただくような対応が必要です。

記事に関する不明点、ご質問またその他労務関係でお困りのことがありました
ら、お気軽にご相談下さい。
                           
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━■ 編集後記 ■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

今年は冷夏のようですが、そう言ってもムシ暑い日が続いております。ムシ暑
い日こそキンキンに冷えたビールが最高です!
さて、昨年より全国健康保険協会が設立されましたが、平成21年9月社会保
険料より都道府県別の保険料率への移行がされることになります。
保険料率を比べてみると、一番高いのが「北海道:8.26%」一番安いのは
「長野県:8.15%」です。東京は8.18%です。

                      社会保険労務士 植木 祥子

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監修: アクタスマネジメントサービス株式会社/アクタス労務研究所

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