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採用選考で合否を決定するために健康診断書を提出させることはできますか?

当社では正社員の採用にあたって、最終選考に残った応募者に対して健康診断書を提出してもらうつもりです。採用内定前の採否の判断のために、雇入れ時の健康診断を根拠として健康診断の結果を提出させることは可能でしょうか?



採用時の選考資料として一律に提出させることはできません。ただし、予定されている業務の内容に応じて、求められる労務が提供できるかどうかを確認するための診断項目については、認められ得るでしょう。
 

【労働契約締結の自由】
労働基準法第3条(均等待遇)では、労働条件の差別的取扱いを禁止しているものの、採用そのものは労働条件ではないことから採用は労使の自由によって成立するとされています。どんなに優秀な人材であっても健康でなければ、仕事をする上でその能力を発揮できるとは言えず、健康であるという点は採用条件の一つとも言えます。
 

【雇入れ時健康診断の目的】
労働安全衛生規則第43条では「常時使用する労働者を雇入れた場合は、規定される項目の健康診断を行なわなければならない」と定めています。同規則で定められた主旨は、労働者を雇入れた際における適正配置、入職後の健康管理に役立てるために実施するものであるとされています。採用選考時に実施することを義務づけたものではなく、また、応募者の採否を決定するために実施するものでもありません。(平成5年5月10日付け労働省職業安定局業務調整課長補佐及び雇用促進室長補佐から各都道府県職業安定主管課長あての事務連絡)
 

そのため、この規則を根拠に無制限に採用前の健康診断ができるわけではなく、採用後、予定されている職務を遂行できるかどうか確認する目的で実施すべきで、これを全うするために必要な診断項目に絞って実施する必要があります。
 

【健康診断と個人情報】
また、健康診断によって事業主が得る応募者の健康に関する情報は個人情報であり、その中でも機微情報にあたります。応募者の人格やプライバシー権の侵害となるような健康診断は許されず、慎重な対応が求められます。近年の裁判例では、応募者の同意を得ずに行なったHIV抗体検査やB型肝炎ウィルス検査が不法行為であるとの判断を受けています。(東京都(警察学校)事件・東京地裁平成15年5月28日判決、金融公庫事件・東京地裁平成15年6月20日判決)
 

したがって、採用選考時に健康診断書の提出を求めるのであれば、まずは応募者の適性と能力を判断する上で、本当に必要がどうかを検討してみることが必要です。その上で、職務内容との関連において必要最小限の診断項目に絞って提出させるべきでしょう。また、ウィルス感染の有無について確認を要するのであれば、応募者から同意を得てから行うべきです。

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2010年05月14日公開

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