人事労務相談Q&A こんな場合はどうすればいいの?

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営業社員が取引先へ向かう途中に労災に遭い、自賠責で対応しましたが、その後、労災への切替えは可能ですか?

営業社員が取引先へ向かう途中、第三者の車が信号無視で横断歩道に侵入してきて、社員は右腕を負傷するという事故が発生しました。当初は相手方の自動車損害賠償責任保険(以下、自賠責保険)で対応するとのことで、労基署には労働者死傷病報告のみ提出していましたが、ここにきて労災保険で対応してほしいと社員から言われました。一度、自賠責保険で処理したものを労災保険へ切替え申請できるものでしょうか。



労災保険への切替え申請は可能ですが、自賠責保険から労災保険に相当する給付を受けている場合は、その分については労災保険へ切替え申請しても重複して支給されません。
もし、遡って治療費などを労災保険に切替えるようであれば、相手方の保険会社の担当者と相談のうえ切替え申請を行う必要があります。

業務災害が第三者の不法行為によって発生した場合、被災社員は、労災保険の保険給付を請求することができるとともに、加害者である第三者に対して民法上の不法行為に基づく損害賠償を請求することができます。
しかし、労災保険の保険給付も損害賠償もともに被災社員の損害を補てんするものであるため、同一の事由について労災保険の保険給付と損害賠償とが行われると二重にてん補されることになります。

そこで、労災保険法では、第三者行為災害によって発生した業務災害について、次のような定めがあるため、先に自賠責保険を使った場合、労災保険から自賠責保険から給付された損害賠償相当額が控除されます。
1.政府は、保険給付の価格の限度で、保険給付を受けた者が第三者に対して有する損害賠償請求権を取得する。
2.先に損害賠償が行われたときは、政府はその価格の限度で保険給付をしないことができる。

政府が支給を免れる保険給付の範囲は、同一の事由に関し被災社員が受けた損害賠償に相当する額のため、労災保険にない、慰謝料、見舞金、精神的苦痛に対して損害賠償、贈与を被災社員が加害者から受けても、「同一の事由」について損害賠償を受けたことにはならず、政府の支払義務は免責されません。

【労災保険と自賠責保険のどちらが優先されるか?】
労災保険を管轄する厚生労働省から「労災保険の給付と自賠責保険の損害賠償額の支払との先後の調整については、給付事務の円滑化をはかるため、原則として自賠責保険の支払を労災保険の給付に先行させるよう取り扱うこと」(昭和41年12月16日基発第1305号)という通達が出ています。

原則として自賠責保険を先行して請求する扱いとなっていますが、通達のため、被災社員に対する強制力はなく自由に選択することはできます。被災社員が労災保険と自賠責保険のどちらかを優先して請求することを希望するかによって、労災保険か自賠責保険かが決められることになります。

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2013年07月19日公開

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